第5章

 高い天井から冷たいライトが降り注ぎ、フェンシング場を白々と照らし出している。

 矢原賢一は七番ピストの脇に立ち、ストップウォッチを握りしめていた。その眼差しは、手にした剣よりも冷たく硬い。

「それがお前のスピードか?」

「一年半も剣に触れていないせいで、反応神経がジュニアレベルまで退化しているぞ。筋肉が寝ているのか? 宇原雫! ランジ五百回、終わるまで止まるな」

 これは拷問に近い肉体改造だった。

 太ももの筋肉が火で焼かれるように痛み、地面を蹴るたびに残された意志力を総動員しなければならない。

 機械的に三百八十回目の突きを繰り出したその時、腕組みをして傍観していた矢原賢一が...

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