第8章

 林原夢子は横からわざとらしく止めるふりをした。

「おば様、やめてあげて。雫さんも他に行くお金なんてないんでしょうし……」

 マネージャーは古崎の母親を一瞥し、次に私の隣に立つ、神色冷ややかな矢原賢一を見た。

 彼は古崎の母親を無視して素通りし、矢原賢一の前に直立して媚びるような声を出した。

「賢一様! いらっしゃるなら事前にご連絡をくだされば!」

 古崎の母親の表情が凍りついた。

「あ……あなた、今なんて?」

 矢原賢一は片手をポケットに突っ込み、冷淡な目で古崎の母親を一掃した。

「矢原グループ系列のレストランは、いつからこんな、いつ破産するか分からないような人間を入れるよ...

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