第9章

 それからの日々、私の生活は矢原賢一によって徹底的に管理された。

 スマホは没収、SNSは遮断。食事は彼がチェックし、飲む水さえ彼の手を経由しなければならなかった。

 チームメイトの噂話で、いくつかの情報を耳にした。

 古崎言舟が狂ったらしい。

 彼は方向感覚を失ったハエのように、基地に侵入して私を探そうとしているそうだ。

 何度来ても、門前払いを食らっていたが。

 世界選手権まであと半月という雨の夜のことだ。

 その日は土砂降りで、私は居残り練習を終えて宿舎に戻ろうとしていた。二階の廊下を通った時、何かに導かれるように、ふと門の方を見た。

 その光景に、足が止まった。

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