第4章

太陽が海へと沈み始めるのと、バスが南都に到着したのはほぼ同時だった。月見町は、まさに今の私が必要としている場所だった――蓮見家の帝国に嫁ぐはずだった耳の聞こえない少女、青山彩音を知る者が誰もいない、小さな海辺の町。

ビーチから三ブロックほど離れたところに、小さな宿を見つけた。受付の向こうにいた女性は、銀色の髪と優しい目をしていた。「何かに追われているのかい? それとも、何かを追いかけているのかい?」彼女は私の普段着と、たった一つのハンドバッグを値踏みするように見ながら尋ねた。

「追いかけているんだと、思います」

「なら、海の見える部屋にしよう。世界がどれだけ広いかを思い出すには...

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