第6章

一晩中、ホテルの部屋を歩き回り続けた。頭の中では沙織の最後な警告が響いている。二十四時間以内に完全に姿を消すか、さもなければ公衆の面前で恥をかかされるか。朝になる頃には、私の決意は固まっていた――もう、逃げるのはやめよう、と。

午後二時。私はスーツケースを傍らに、チェックアウトの準備を整えてロビーに立っていた。

「彩音!」

その声はナイフのようにロビーの空気を切り裂いた。振り返ると、宗吾が入口を押し開けて入ってくるところだった。だが、一人ではない。

彼の後ろには蓮見賢治と蓮見治江、そして、その専門家然とした服装から「心理カウンセラーです」と一目で分かる女性が続いていた。

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