第9章
「パァンッ!」
乾いた音が、死のように静まり返った病室に響いた。
父親が渾身の力を込めて放った平手打ちだ。水野奈々の口端からは瞬時に血が溢れ出し、彼女はその場に崩れ落ちた。
「いつまで芝居を続ける気だ!」父親は怒りでわななきながら叫ぶ。「あの子はお前の姉さんだぞ! よくもそこまでひどいことができたものだ」
「家族だなんて……あいつはただの施設育ちの野良犬じゃない……」
水野奈々は頬を押さえ、ついに猫被りを捨てて金切り声を上げた。
「死んでいい気味よ! 私が持っているものを奪いに来たあいつが悪いの!」
「彼女が野良犬なら、お前は何だ?」
椎名陸が冷ややかに言い放ち、最後...
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