第5話

また電話をかけるが、指先が痺れて思うように動かない 。手紙を握りしめると皺が寄ったが、そこに書かれた文字は、まるで骨に刻まれたかのように鮮明なままだった 。

初めて気づいた。私は、彼女がずっと待ち続けてくれると思い込んでいたのだ 。薬を断つのを、私がのし上がるのを、美智子を突き放すのを、「いつか」が「今」になるのを 。スマホの画面が暗くなっては、また点灯させる 。どうやってその夜を明かしたのか記憶にない 。寝室に閉じこもり、三人の合影を握りしめたまま、一睡もできずに朝を迎えた 。「栞、俺が悪かった……本当だ。お願いだ、戻ってきてくれ。お前がいないと生きていけないんだ」 枕は涙でぐっしょりと濡...

ログインして続きを読む