第102章 研究院が盗まれる

彼女は、自分が吐いた言葉をまるで気にも留めていなかった。

藤井輝大はスマホを思い切り投げつけた。鈍い音を立てて壁に当たり、弾かれて床へ落ちる。

F国に来てから、彼は自分の力だけで今の地位を掴み取ってきた。ここまで露骨に舐められたことなど、一度もない。

最初の一人が――藤井心海。

命知らずにもほどがある。

ここまで無礼を働く相手に、これ以上、丁寧に取り繕う必要はない。

藤井輝大の目に冷たい光が走る。ひとつ、策が浮かんだ。口元がわずかに緩み、胸の奥の苛立ちが少しだけ鎮まる。

夜も更けたころ。

藤井心海は研究所での仕事を片づけ、帰宅の支度をしていた。

藤井輝大の件は、彼女の心を乱...

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