第110章 録画

藤井心海はずっと画面を見つめていた。点いたり、ふっと暗くなったりを繰り返す光に、心まで振り回される。ぐちゃぐちゃで、ほどけない。

酒井蒼真との離婚騒動は、もうずいぶん長い。

あと最後の一歩――そう思った矢先に、こんなことが起きるなんて。

藤井心海がいちばん見たくなかった展開だった。

空はゆっくりと暮れていく。

その頃、松本淳太から電話が入った。

「飯、食った?」

「まだ」

午後からほとんど声を出していなかったせいで、藤井心海の声は少し掠れていた。

「どうして急に電話してきたの?」

「心配だったんだ」松本淳太の声は柔らかい。「午後、警察署に行っててさ。連絡が遅れた」

「今...

ログインして続きを読む