第112章 仲のいい女

「……でなきゃ、あいつは自分が運が悪かったって諦めるしかない」

それって、自滅と何が違うの?

藤井心海は、ほんの少し口元を持ち上げた。意味の読めない笑み。

その瞬間、彼女はふと酒井蒼真が気の毒になった。

純粋と言うべきか、それとも――愚かと言うべきか。

少し考えて、藤井心海は何も言わなかった。腕時計に目を落とし、

「私、まだ片づける用事があるの。ここで付き合ってられない。じゃあね」

「もう少し時間くれないのか」

酒井蒼真は名残惜しそうに身を乗り出す。

「まだ、話したいことが山ほどある」

「また今度」

それだけ残して、藤井心海は席を立った。

酒井蒼真は、どうしようもなく...

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