第122章 まだそれほど愚かではない

外の騒ぎが耳に入った瞬間、酒井蒼真の堪忍袋の緒が切れた。ドアを乱暴に引き開ける。

「……お前、いったい何がしたい」

怒鳴り声に、藤井愛美が一瞬だけ目を丸くした。

だがすぐに、粘つくような視線を絡めてくる。

「あなた……朝っぱらからトイレにこもって、何してたの?」

「さっき、誰かと話してたよね。電話? 誰にかけてたの?」

「黙れ」

「あなた」――その呼び方だけで、胃の奥がむかついた。

どれだけ必死に、何度線を引こうとしたと思ってる。

藤井愛美と距離を置くために、どれだけ神経をすり減らしたと思ってる。

それなのに結局、同じベッドに転がり込んでいた。

藤井愛美の性格からして、...

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