第130章 父の目覚め

だがすぐに、藤井心海はふるふると首を振った。

――そんなはず、あるわけがない。

彼女はずっと研究院で人当たりもよく、誰かから恨みを買うようなことをした覚えもない。

それなのに、藤井輝大は一体どうやって研究院の人間を抱き込み、自分を背中から刺させたのだろう。

藤井愛美と別れたあとも、心海の足取りはどこか宙に浮いていた。

愛美が「その女、背が高かった」と口にした瞬間、心海の脳裏に浮かんだのはキャロラインだ。

彼女がF国の研究院に来て、最初に仲良くなった女性。

初対面の一瞬で、そのすらりとした長身に圧倒されたのを覚えている。

松本淳太に冗談めかして言ったこともあった。

F国の美人...

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