第142章 帰路

松本淳太は好奇心たっぷりの顔で彼女を見た。

「いい知らせって、何?」

藤井心海は手にしていた豆乳を置き、リビングの引き出しへ駆けていく。取り出した書類を、これ見よがしに掲げた。

「見て。酒井蒼真との離婚、正式に手続きが終わったの。これで完全に縁が切れた」

それから、胸の奥がふっと軽くなるのを確かめるみたいに言う。

「これからは、実験にだけ集中すればいい」

考えれば考えるほど、未来は明るい。

酒井蒼真に邪魔されないだけで、空気まで甘く感じる。

それに、父の容体もずいぶん良くなった。もう少しすれば、普通の人と同じように暮らせるはずだ。

松本淳太は何も言わなかった。数秒置いてから...

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