第144章 道連れ

松本淳太はそれ以上、細部を追及しなかった。書類をデスクに置くと、踵を返して外へ向かう。

「例の番号のIPを洗う。お前は先に臨床試験を止めろ」

ドア口まで行ってから、彼は振り返って彼女を一度だけ見た。

「本当か嘘かは関係ない。いったん止める。安全が最優先だ」

藤井心海はすでにパソコンの前に立っていた。指先がキーボードを叩く速度は異様なほど速い。最後のコアコード群を呼び出し、1行ずつ潰していく。

隣室で物音を聞きつけた研究員の小倉宗介が、慌てて駆け込んできた。

「藤井社長、何が――」

「データ、改ざんされてるかもしれない」

藤井心海は画面から目を離さないまま言う。

「第3ロット...

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