第22章 スリッパで顔を叩く

彼女は頬を押さえたまま、ゆっくりと顔を向けて酒井蒼真を見た。

けれど、彼は彼女を見ない。

殴りつけた手は宙で止まり、全身が何かに縫い留められたみたいに固まっている。荒い息が喉の奥でごろごろと鳴り、肩が小さく上下していた。

心海は信じられないものを見る目で酒井蒼真を見つめた。ずっと、長いこと愛してきた人。

怒りに任せてスリッパを脱ぎ、彼の顔めがけて叩きつける。

「酒井蒼真! 出てって! もう終わりだから!」

吐き捨てるように言うと、踵を返して寝室のドアを思いきり閉めた。

「バンッ!」

その一撃みたいな音に、酒井蒼真はようやく我に返る。

しばらく呆けたまま立ち尽くし、硬直してい...

ログインして続きを読む