第24章 別居

酒井蒼真の手が、宙で固まった。

「……何してるんだ?」

不機嫌さの滲む声。

心海は唇を噛み、視線を落とした。声は羽のように小さい。

「べ、別に……何でも……ただ……」

言いかけて、途中で飲み込む。

信号が青に変わる。後ろの車が「プッ」とクラクションを鳴らした。

蒼真は眉を寄せ、手を引っ込めるとアクセルを踏み込む。

車は再び走り出した。交通量の少ない郊外の区間に差し掛かったところで、蒼真がもう一度口を開く。

「心海。お前、いったいどうした」

「……何でもない」

同じ言葉なのに、声の奥がかすかに震えている。

「誰に通じると思ってる」

蒼真の声が沈んだ。

「この数日、俺...

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