第38章 婚約パーティーの幕開け

心海の荷物はすべて梱包済みで、玄関には大きなスーツケースが二つ、きっちり並んで立っていた。

病院の引き継ぎも終えた。大学の授業も手配し直し、穴は残していない。海外行きの航空券は婚約パーティーの翌日。パーティーに顔を出して、戻ってひと晩寝て――翌朝には空港へ向かう。

坂本紗彩も同じ便を取っている。ただし彼女はS市行きで、途中で乗り継ぎだ。

「明日、本当に行くの?」

坂本紗彩は部屋のドア枠にもたれ、クローゼットの前でごそごそと服を探す心海を眺めた。

「行ったって自分が苦しくなるだけじゃない?」

心海は答えない。ただ、ハンガーから一着ずつ外してベッドに広げ、畳み直して戻す――その作業を...

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