第7章 発熱

藤井母は言葉に詰まり、顔色を鉄のように青くして心海の鼻先を指さした。

「この恩知らず! 藤井家が二十五年も育ててやったのに、それが礼のつもりか!」

「礼?」

心海は喉の奥で小さく笑った。

「その二十五年、藤井家で私が使ったお金は、働き始めてから元金も利息もつけて全部返しました。勘定するって言うなら、帳簿を持ってきて一つ一つ突き合わせましょうか」

一拍置き、心海はその場にいる全員へ視線を滑らせる。凪いだ瞳のまま。

「……逆に、私に借りがある人は。この先、一生かけても返しきれない」

重すぎる言葉に、藤井母の表情が一瞬で歪んだ。

藤井父は脇で唇を動かしかけ、結局はため息だけ吐いて視...

ログインして続きを読む