第71章 藤井愛美の三十六計

「お姉ちゃん! やっと会えた!」

 まるで、長いこと離れ離れだった本当の血縁に再会したみたいな、やけに親しげな声。

「蒼真兄から聞いたの。お姉ちゃんもF国にいるって。だから会いに飛んできたんだよ。これからはずっと一緒にいられるね。最高じゃない?」

 藤井心海は淡い表情のまま彼女を見た。

「藤井愛美。ここは研究所よ。酒井蒼真に用があるなら、彼のオフィスで待って。ロビーは通路であって、舞台じゃない」

 藤井愛美の笑顔が、ほんの一瞬だけ固まる。零点数秒。けれど次の瞬間には、何事もなかったみたいに貼り直された。

「お姉ちゃん、そんな言い方しなくてもいいじゃん。私たち姉妹だよ? 遠くから会...

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