第76章 処罰

藤井心海は松本淳太をきつく抱きしめた。力を入れるのが怖い。けれど、指をほどいた瞬間――彼が本当に遠くへ行ってしまう気がして。

血の匂いと、骨の髄まで染みる絶望が喉に詰まり、嗚咽すら形にならない。

心臓を誰かに握り潰されたみたいだった。細かな痛みが血管を伝って全身へ散り、息ができなくなるほど胸を圧迫する。

 藤井心海は必死に気を鎮めた。震える指はスマホをまともに掴めないのに、通報番号だけは正確に押し込む。

 「こちらF国サン・ミナ自治区、シルバーセイル・マンションです。故意の傷害事件です。被害者は頭部を強打しています。至急、警察官の出動と現場検証をお願いします!」

 通話を切るや否や...

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