第8章 いい、彼女は謝罪した!

心海はそっと目を閉じ、ひとつ深く息を吸い込む。残った力をかき集めて背筋を伸ばした。

「藤井さん……いま本当に疲れてるの。用事があるなら、また今度にして」

「また今度ですって?」

藤井母の声が、いきなり甲高く跳ね上がる。

「あなたのせいで愛美が危うく飛び降りるところだったのよ。それで『また今度』? 心海、あんた本当に愛美のことを妹だと思ってるの? この恩知らず! 藤井家が二十五年も育ててやったのに、育ったのはこんな人間だったなんて!」

言葉の一つ一つが刃みたいに突き刺さる。けれど心海には、避ける力すら残っていなかった。

ただそこに立っているだけ。顔色は紙のように白く、唇をきゅっと結...

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