第80章 どうして私が今日帰国するって分かったの?

  まだ大して歩いていないのに、酒井蒼真が追いかけてきた。

「心海、戻ろう。サプライズ、用意したんだ」

  その口ぶりは妙に自信に満ちていて、藤井心海が断るはずがないとでも言いたげだった。

  心海は小さく首を傾け、彼を見た。

「サプライズ?」

  同じ言葉をなぞりながら、口元だけが笑う。けれど、その笑みはひどく冷たい。

「酒井蒼真。今の私に、あなたのサプライズを見てる暇があると思う?」

  蒼真の笑顔が、ぴしりと固まった。言い返そうとした、その瞬間。

「心海、今夜一緒に飯でもどう?」

  松本淳太の声が割って入る。

  彼は二人分のスーツケースを提げ、心海の隣に立った。...

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