第章 海外渡航の件、どうも怪しいのよね

「もし誰かが蒼真に色目を使ったら、すぐ私に知らせて。そしたら私、すぐ戻って――奪おうなんて考える目の腐ったクズ女がどこのどいつか、見せてもらうから」

藤井愛美は最初こそ落ち着いていたが、二言三言のうちに感情が爆発した。

自分がこのまま海外へ行っている間に、酒井蒼真が別の女と結婚する――そんな光景を想像しただけで、胸の奥がぐしゃりと潰れる。きっと自分は正気でいられない。

長いこと愛してきた男が、最後には他の女の隣に立つ。そんなの、命を取られるのと何が違う。

「わかったわ。お母さん、約束する」

藤井母はうなずき、言い聞かせるように続けた。

「いい? 海外では絶対に大人しくしてなさい。...

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