第92章 会ったこともない叔父

松本淳太があれだけ気を配ってくれている間にも、酒井蒼真はきっと藤井愛美のベッドで寝転がっていたんだろう。

それなのに、よくも松本淳太を笑えたものだ。滑稽にもほどがある。

機体がまもなく着陸する。ガタン、と大きく揺れ、轟音が腹の底まで響いた。

酒井蒼真は何か言いかけたが、その声はエンジンの唸りに呑み込まれる。悔しそうに唇を結び、目つきだけが険しくなった。

――いつか必ず、藤井心海に証明してみせる。いちばんふさわしいのは自分だ、と。松本淳太なんて、彼女の人生に立ち寄っただけの通りすがりにすぎない。

それに、離婚などあり得ない。

仮に離れたとしても、結局また戻る可能性だってある。無駄な...

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