第10章

「そのまま、落としなさい」

黒曜石の椅子にもたれ、私は指先で法力の光幕をとん、と叩いた。

映像は異様なほど鮮明だった。魔術師塔から数万キロ北――極北の、陽光すら届かないはぐれ狼の荒原。鈍い破裂音とともに転移陣が空中に裂け目を開き、ケイルが悪臭のするゴミ袋みたいに真っ逆さまに投げ捨てられる。

粉砕された脛骨は不自然な弧を描き、眼窩の血洞はもはや流血こそないものの、吐き気を誘う黒い痂皮で塞がっていた。刺すような氷風。枯れた林の影で、幾十もの幽緑の狼瞳が、じわりと灯る。

かつて彼が「狼王」の名で残酷に追い払ったはぐれ狼の群れだ。

血の匂いに誘われ、飢えた群れが、反抗すらできない盲目の獲物...

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