第4章

冷たい豪雨が容赦なく叩きつけてくる。頭から、肩から、逃げ場など一つもない。

三マイル。どれほど血を流したのか分からない。ただ、帝国魔術師塔の大門を押し開けた瞬間、視界の端が黒く滲みはじめた。

広間に人影はない。宙に浮かぶオールシーイング・ウォーターが、目を刺すような赤い光を明滅させていた。狼族の領地で高濃度の黒魔法が発生した――その警報だ。

冷たい石柱に寄りかかり、水面に投射された像を一瞥する。

――轟音。ケイルが主寝室の扉を蹴り破った。両手は、実の子の血で真っ赤だった。

セレネは寝台にもたれ、補血スープを飲んでいる。血走った彼の眼に怯え、匙を取り落とした。

「ケイル……どうした...

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