第8章
惨緑の呪光が、私の瞳孔いっぱいに膨れ上がる。鼻を突くのは、吐き気を催す腐肉の悪臭。
「一緒に地獄へ落ちろ! エララ!」
ガーゴイルの影に潜んだセレネが、裏返った甲高い叫びを上げた。残った血肉で無理やり駆動する『神魂共滅』。逃げ道のない死角から、私の眉間へ――一直線。
近すぎる。けれど私は、瞬きすらしなかった。
イグニスが、すぐ隣にいる。精鋼だろうが素手で握り潰す竜族の力なら、こんな下劣な黒魔術、半秒もいらない。
暗金の鱗に覆われた手が上がるのが見えた。だが指先が呪光に触れようとした、その瞬間――縦瞳の奥に、ひどく悪趣味な戯れが走った。
わざとだ。
彼の手は、計ったみたいに――半...
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