第3章
ヴィヴィアンが口を開いた。カエルは、それが確実に起こるように手を回した。
彼は見習いの横をすり抜け、魔女の両手を自分の力でさらに強く、私のほうへ押し込んだ。
「こいつは、何が起きても自業自得だ」
術式がうねりを上げる。私の狼魂がそれに抗って悲鳴を上げた。身体が、私のものではなくなっていく――絶対的な痛みは、あらゆるものを道連れにして奪い去る。
新しい記憶が、裂けるように突き抜けた。
映し出されたのはクレセント・ベイの奥の部屋で、私の首に細い銀の鎖が巻かれている光景だった。飾りではない。従わない雌狼にリゾートが使う類のもの――狼を常に抑え込めるだけの銀。あの頃の私は、すでにそれを三週間つけさせられていた。
リゾートの男が二人、私の上に立っていた。ラウンジに来いと言う。私は拒んだ。痕が残らないように殴るやり方を、彼らは知っていた。
廊下の誰かが、それに即座に気づいた。
「その鎖、銀糸が編み込まれてる。変身を完全に封じるやつだ。あれじゃ力ずくで逃げられるはずがない」
隣の狼が唸るように言う。
「囚われてたんだ。そうに決まってる」
すぐ反対側から声が飛ぶ。
「五分前まで私たちの前でやってたじゃない。同じことだろ」
カエルの手が私の喉を掴んだ。
「こんなものを見せれば意味があるとでも? 同情するとでも思ったか?」
「お前はまだ、これをやった奴を庇ってる。お前が受けた苦しみも全部、お前が選んだことだ」
記憶が切り替わる。
リゾートの鏡の前に立つ私。渡された制服を着ていた。想像の余地なんて一切残さない制服だ。求められるままに、私はそれを身につけていた。
廊下がどっと沸いた。
「ほらな。馴染んでる。都合がよくなった瞬間に被害者じゃなくなったんだ」
「少し殴られた程度で、もう鏡の前だ。戻るの早すぎるだろ」
私は首を振った。視界がぐらりと跳ねる。
新しい映像。イゾルデが押さえつけられ、泣きながら、腕と肋骨に青黒い痣を散らしている。支配人が脇に立ち、悠然としていた。
「こいつは病気だ。エイズ、活動期――こんな状態じゃ俺にとって価値がない」
彼は私を見た。
「こいつの分を被れ。こいつが取れない客は全部お前が取れ。そうすれば医者をつけてやる」
「さもなきゃ今夜、裏から出して終わりだ」
私は二人の間に飛び込み、イゾルデを庇った。声が砕ける。
「医者を呼んで。私が払う。全部払うから。必要なものは何でも――私が出す」
記憶は滲んで、加速した連なりになった。
部屋、部屋、部屋。客、客、客。望むことなら何でも、どれだけ時間がかかろうと。
そしてそのあと、支配人の部屋へ這うように辿り着く――制服のまま、どこかがまだ血を流したまま――イゾルデの薬をもっと良いものにしてほしい、もっと手当をしてほしい、何でもいいから、と懇願する私。
廊下が静まり返った。
「彼女、イゾルデの治療費を自分で払ってたんだ。あそこで稼いだ金で」
「人身売買の奴を庇ってたんじゃない。イゾルデを生かそうとしてた」
「ハーグローブ家はずっと、無実の雌狼を拷問してたってことか」
ヴィヴィアンが私の肩を掴み、揺さぶった。
「でっち上げよ。全部、切り取った映像」
「本当にイゾルデを思うなら、名前を言えるはず。これは演技――一秒一秒、計算してやってるのよ」
「見なさいよ。まだ立ってる。あれだけの目に遭った雌狼なら、とっくに完全に壊れてる。こいつは壊れてない。全然壊れてない」
群衆の空気が再び反転した。一瞬芽生えた疑念は、新たな怒りの波に押し潰されて崩れ落ちる。
カエルの顔色が灰色に変わっていた。彼は、頭上の空中に吊られた記憶を睨みつけ、睨みつければ形が変わるとでもいうように見つめていた。
だが次の瞬間、表情のどこかがぱきりと割れ、彼は私へ向き直った。
「誰を庇ってる? これだけのことをする価値がある相手は誰だ」
「俺はお前と結婚した。持ってるものは全部、お前にやった」
「どうして、あの部屋に転がってるのがお前じゃなくてあいつなんだ?」
彼は顔を一度だけ、乱暴に拭った。それから魔女を見た。
「続けろ。名前が出るまで止めるな」
見習いが彼の前に出る。
「もう限界です。狼魂が分断を始めています――この強度で抽出を続ければ、元に戻らな――」
カエルは彼女をまるで見なかった。
「こいつは、イゾルデをあそこに売り飛ばした狼どもに手を貸した」
彼は魔女の手を、もう一度私へ押し戻す。
「死ぬなら死ね」
術がさらに深く突き刺さった。私の身体が椅子の上で痙攣する。
ホールの上で、記憶はひび割れ――それでもなお、止まらずに続いた。
