紹介
クレセント・ベイ。雌狼を「所有物」に変えてしまう場所。
金さえ積めば、どんな狼でも私たちを一晩買えた。それが取り決めだった。いったん中に入れば、私たちの価値はそれだけだった。
夫のカエルが、ハーグローブ・パックの戦士部隊を率いて門を破ったとき、私は奥の部屋でその夜の稼ぎを数えていた。三か月連続で売り上げ一位。
イゾルデは地下にいた。脳死。妊娠中。機械がなければ、心臓はもう止まっていた。
ハーグローブ・パックは、私たちを売り飛ばした犯人の名に五十万ドルの懸賞金をかけた。
知っていたのは私だけだった。だが、私は何も言わなかった。
ヴィヴィアン――カエルの母であり、イゾルデのルナ――が私の前に膝をつき、懇願した。私は目を閉じた。
パックの執行者たちは三度、私を尋問した。私は毎回、同じ答えを返した。答えにならない答えを。
そしてカエルは我慢の限界に達した。彼は魔女を呼び、私の記憶を抜き出し、これまで私を知ってきた全員の前に晒すことにした。
チャプター 1
親友のイゾルデと私は、外国のリゾートへと誘い出された。
クレセント・ベイ。雌狼を「所有物」に変えてしまう場所。
金さえ積めば、どんな狼でも私たちを一晩買えた。それが取り決めだった。いったん中に入れば、私たちの価値はそれだけだった。
夫のカエルが、ハーグローブ・パックの戦士部隊を率いて門を破ったとき、私は奥の部屋でその夜の稼ぎを数えていた。三か月連続で売り上げ一位。
イゾルデは地下にいた。脳死。妊娠中。機械がなければ、心臓はもう止まっていた。
ハーグローブ・パックは、私たちを売り飛ばした犯人の名に五十万ドルの懸賞金をかけた。
知っていたのは私だけだった。だが、私は何も言わなかった。
ヴィヴィアン――カエルの母であり、イゾルデのルナ――が私の前に膝をつき、懇願した。私は目を閉じた。
パックの執行者たちは三度、私を尋問した。私は毎回、同じ答えを返した。答えにならない答えを。
そしてカエルは我慢の限界に達した。彼は魔女を呼び、私の記憶を抜き出し、これまで私を知ってきた全員の前に晒すことにした。
―――
裁判はパックハウスで開かれた。八か月前、私たちが誓いを交わしたのと同じ広間だ。今は家具がすべて撤去され、壁から壁まで椅子で埋め尽くされている。席は一つ残らず埋まっていた。
部屋の中央に置かれた椅子が目に入った瞬間、考えるより先に体が動いた。三歩、進んだところで――
カエルが私の腕を掴み、引き戻した。
彼は自分の手で私を椅子に押し込めた。指先は震えていない。
それから片手で私の顔を掴み、持ち上げるように顎を上向かせた。彼の瞳は、感情の凹凸を失って平らになっていた。私は、あの目が好きだった。
「セレン」
親指が顎骨に食い込む。
「お前はそこに座れ。魔女が記憶を全部引きずり出す。そしてこの部屋にいる全員が、お前が何者なのかをはっきり見ることになる」
「最後の機会だ。イゾルデをあそこに売り飛ばしたのは誰だ?」
掴まれていて言葉が出ない。私は彼の視線を受け止め、何も言わなかった。
彼が手を離す。
ハーグローブの親族たちが壁際からにじり出るように近づいてきた。拳、靴。押さえつけられたまま、私は身ぐるみを剥がされ、写真を撮られた。画像は広間の奥のスクリーンに映し出される――すべてを、この場の全ての狼に見せつけるために。
「パック全員に見せろ。こいつが何なのか、はっきり見せてやれ」
「イゾルデはお前を姉妹みたいに愛してた。お前をこの家族に迎え入れて、全部与えた――なのにお前は、あそこで彼女が腐っていくのを見て、何も言わなかった」
「お前なんかより、あいつのほうが何倍も価値がある。生まれたその日から、お前が最高の日に持ち得る価値よりずっと上だった」
私はもう、隠そうとするのをやめた。無駄だ。床を見つめ、終わるのを待った。
カエルが私の前に一歩引いた。広間の空気がいっそう静まる。
彼の手には銀の針があった。細く、掌ほどの長さ。背後に魔女が立ち、両手を掲げている。指の間の空気が、すでに何かでぶるぶると震え始め、私の狼をぴたりと黙らせた。
「記憶抽出だ」彼は言った。
「魔女が狼の魂に接続し、中にあるものを全部引きずり出す。お前の記憶は一つ残らず、この部屋の全員の前に並べられる」
彼は私の目線までしゃがみ込む。
「魂の糸は、入るときに焼ける。そして、隠してきたものを皆が見る」
何を見られるのかを思っただけで、体の芯が凍りつき、動けなくなった。私は椅子の肘掛けをきつく掴む。
「カエル」声は自分でも驚くほど落ち着いて出た。
「やめて。あなたは後悔する」
彼の目の奥で何かが揺れた。壁際に立つヴィヴィアンへ視線が流れる――髪は今や真っ白で、一夜にしてすべて色が抜け落ちたようだった。彼の目の奥の揺れは、そのまま凍りついた。
「後悔」彼はその言葉を、舌の上で転がすみたいに言った。
「俺に後悔の話をする気か」
立ち上がる。
「俺はお前のために、あそこへ入った。俺の手でお前を引きずり出した。家に連れ帰った」
「それなのにお前は、あの日から毎日、俺の目の前で嘘を吐き続けてる」
「イゾルデは病院のベッドで横たわって、腕にはチューブが刺さってる。抱くことのない赤ん坊を腹に抱えたまま――それでもお前は口すら開かない」
「俺が後悔してるのは、そもそもお前に構ったことだ」
彼は針を、私の後頭部の付け根に当てた。
「お前はあそこに残るべきだった。お前には、あそこがちょうどよく似合ってたんだろうな」
針が刺さる。
痛みがすべてを奪った。思考が保てない。言葉が形にならない。喉から漏れた音は、自分のものとは思えなかった。
群衆の中から、「いい気味だ」
「人身売買の肩を持つからだ」
「自業自得だ」
魔女の呪が最初の記憶を捉え、広間の上空へ放り投げた。鮮明で、逃げ場がなく、ゆっくりと回転しながら、この場の全員に見えるように。
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(この小説を軽い気持ちで開くなよ。三日三晩も読み続けちゃうから…)
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