第6章

「彼女は外へ出た。突破して、もう扉のところまで――」

 ホールの上空に浮かぶ映像は、まだ動いていた。

 イゾルデが腕を私の腕に絡め、クレセント・ベイの看板を指さした。「ここ、すごいんだって。ほら、行こうよ」

 中では男たちが一気に距離を詰めてきた。私が先に突破する――肩を落として隙間に体をねじ込み、片手でドア枠をつかみ、そのまま外へ飛び出した。

 振り返る。

 イゾルデが私の背後で床に倒れていた。片手をロビー越しにこちらへ伸ばして。

「セレン。置いていかないで」

 私は中へ戻った。

 考える暇なんてなかった。損得も何も量らなかった。ただ踵を返して、戻っただけだ。

 そこで記...

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