第6章

一瞬、時が止まったように感じた。彼が私の答えを待つ間、その瞳に宿る慎重な希望、握りしめられた拳の緊張、そしてわずかに前のめりになった体勢が見えた。

彼は私にチャンスをくれている。やり直すためのチャンスを。

「少しだけ」心臓が激しく脈打つのを感じながら、私は慎重に答えた。

奈央の笑顔は瞬時に凍りついたが、悟の瞳には火花が散った。「じゃあ、来いよ。俺が教えてやる」

奈央が必死に口を挟もうとしているのが見えたが、悟は立ち上がった。「絵里には、聖谷学院での本当のゲームのルールってやつを見せてやる必要がある」

午後十時。私は浜町にあるどこかの屋敷の地下室で、緑のフェルトが張られたテ...

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