第6章

翌日の午後、私は一人で車を走らせ、都心にある高級ウエディングドレスショップへと向かった。

本来なら直次も一緒に来るはずだったが、急遽、父親に呼び出され、事業転換プロジェクトの緊急会議に出席することになったのだ。

「心配しないで。直し終わったドレスを受け取りに行くだけだから。すぐに戻るわ」

店内は奇妙なほど静かで、いつもは忙しなく動き回っている店員たちの姿が見当たらない。

訝しんであたりを見回していると、店長がこちらへやって来た。

「神崎様、ドレスのお直しが完了いたしました。どうぞ、フィッティングルームでお試しください」

フィッティングルームには、オーダーメイドの白いウエ...

ログインして続きを読む