「白無垢と法務部」

「ねえ」と祈は言いかけて、口を閉じた。

言葉が喉のあたりで止まっている。もう一度息を吸って、ようやく続けた。

「あなたに話したことなかったと思う」声がわずかにかすれた。「どんな結婚式がしたいか、って」

「大三のときに提出した課題レポートを、千葉に調べさせた」

朔の声は平坦だった。

「『白無垢の留白は、建築における最高位のデザイン言語だ』。そう書いていた」

祈の胸の奥で、何かが静かに揺れた。

あのレポートのことは覚えている。建築美学概論の期末課題で、桑原道隆の空間余白論を引用し、白無垢をひとつの類比として持ち出した。自分でも内容をほとんど忘れかけていた、あの原稿。

彼は覚えていた...

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