「赤いペンと茶の香り」

祈は自分のデスクの横に立ち、ふたりを正面から見据えた。

「井上の件で、あなたたちは就業時間中に、確認もされていないスクリーンショットをオフィス内で公開し、根拠のない話を広めた」

声に起伏はなかった。

「それはチームの雰囲気と業務の正常な運営に、深刻な支障をきたした」

高橋の唇が動いた。「あのときはみんな——」

「このプロジェクトの主任デザイナーとして、今後のタスクを再調整します」祈は弁解の隙を与えなかった。

周りの同僚が手を止めた。

「高橋さん、明日から今週金曜日まで、横浜の現場で建材の現地確認をお願いします。毎日の進捗レポートは夜八時までに共有フォルダへ」

高橋の顔が変わった...

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