「正しいことと後悔しないこと」

「どんな仕事も、敬意を持って当たるべきです」祈の声は大きくなかったが、逃げ場を塞ぐように届いた。「基本的なコミュニケーションもできないなら、現場の仕事には向いていない」

高橋の目が細くなった。

「浅野さん、自分を買いかぶらないほうがいいですよ」声を落としたが、その中に刃のような含みがあった。「白河グループの企画部に知り合いがいるんで。よく考えた方がいい」

祈はその目を見た。表情は動かなかった。

「じゃあ、その知り合いのところへどうぞ」

現場から戻った高橋が最初にしたことは、山口に電話をかけることだった。

発信ボタンを押す指に、まだあの悔しさの熱が残っていた。三回コールして、向こうが...

ログインして続きを読む