「縁」

立花が厨房の方から歩いてきて、軽く頭を下げた。「浅野様、朝食の準備ができております。どうぞ」

祈はその場に立ったまま、玄関の方を見て、それからダイニングテーブルを見た。

「結構です、私は——」

「二度言わせないでください」

朔は新聞のページをめくった。顔は上げなかった。

祈の足が動いた。

自分でも気づかないうちに、一歩、二歩と踏み出していた。テーブルの前まで来て、彼の向かいに腰を下ろした。

朔がそこで初めて目を上げて、一瞬だけ祈を見た。

何も言わなかった。

祈は俯いて、目の前の朝食を引き寄せた。心の中で思った——お腹が空いていただけだ。

「スキンケア用品は使いませんでした」...

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