「負い目の清算」

翌朝、事務所の空気は張り詰めていた。

祈は二十分早く出社し、昨日手をつけられなかった書類を机に広げた。紬が横を通りかかり、何も言わずに温かいミルクを置いて自分の席へ戻った。祈はカップを手に取り、一口飲んだ。

九時ちょうど、凛香がオフィスに入ってきた。ヒールの音が静寂を断ち切る。

彼女は祈の机の前で立ち止まり、ファイルを置いた。

「昨日の午後、無断で早退しましたね」

「家庭の急用でした。フロントには報告済みです」祈は顔を上げて答えた。

「報告は許可ではありません」

凛香は眼鏡をかけ、ファイルを開いた。

「実習期間中の無断早退は、直属上司の許可が必要です。規則に明記されています」

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