「境界線」

「なんでここにいるんですか」

「料理で借りを返しに来た」祈は落ち着いた口調で言った。

朔が立花に目をやった。立花は澄ました顔で、何もしていませんという表情をしていた。

「食事を奢らなくていいと言った」

「奢っていない。食材はここのもので、私は手を動かしただけ。奢ったことにはならない」祈は箸を並べながら、顔を上げなかった。「座るかどうかはご自由に。食べ終わったら帰ります」

朔はそれ以上何も言わなかった。上着をソファに掛け、食卓に着いた。

四品と汁物。

玉子焼きが整然と切り揃えられ、青菜炒めは色が鮮やかで、豆腐の味噌汁からまだ湯気が立っていた。中央に白飯が一膳、傍らに漬物の小皿があっ...

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