「取り繕えない夜」

悠真は二秒、黙っていた。

 

「妹が入院した。腎炎で、経過観察が必要で、たぶん一ヶ月くらい。費用が今すぐ用意できない」

 

声を落としていた。「シフトを増やそうと思ってたんだけど……分かるよね」

 

分かった。悠真はあの店を解雇された。その場でマネージャーに通告が行った。もうすぐ一年働いていた店だった。あの日、廊下に出たのは祈と少し話しただけだった。

 

あのとき止められなかった。

 

「悠真、」祈は言った。「他に人手が要るところ、当たってみるよ——」

 

「そうじゃなくて」遮られた。「祈、あの店のこと、一言言ってもらえないかな。もう一度採用を検討してくれるように。あっちと繋がりがあるって分か...

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