「宿縁の停車」

慎は自分のオフィスに戻り、椅子に座った。手に持っていた書類をデスクの上に置いたが、すぐには開かなかった。

 

最初に彼女を見たときのことを思い出した。銀座のあのレストランの中庭だった。

 

バラの茂みのそばに立って、廊下の壁に背をつけて、現場を押さえられながらも必死に言い訳しようとしているような表情をしていた。「私は三列目に座っていました、二時間の講義、ずっとノートを取っていました」と声がだんだん小さくなって、最後は自分で口を閉じた。

 

こういう状況に追い込まれたら、自分を頼ってくるだろうと思っていた。

 

来なかった。

 

同僚のところへ一人ずつ回って、一つひとつ話して、タスクを分配した。...

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