「灯が消えるまで」

朔の筆跡は鋭く迷いがない——

「最初の三ヶ月は普通に出勤していい。食事を抜いているのを二度と見せるな」

祈はダイニングテーブルの前に立ち、その一行をじっと見つめていた。

感謝はない。安堵もない。名前をつけられるような感情は何一つない。

祈は視線を落とし、自分の平らな腹部を一瞬だけ見た。それから椅子を引き、箸を手に取った。

牛乳は温かかった。温度がちょうどいい。

設計事務所のガラスドアが九時十五分に押し開けられた。

祈はIDカードに切り替え、受付を通り過ぎる際にラウンジのソファに座る女性の存在に気づいた。黒いワンピース、パールのイヤリング、一枚の絵のように端正な佇まい。

紬がデス...

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