「届かない電波」

祈がドアを開けると、朔が廊下に立っていた。千葉律がその二歩後ろでiPadを抱えて控えている。

「大阪、三日、プロジェクト契約」

朔の口調はスケジュール表の一行を読み上げるようだった。

「行ってらっしゃい、私のことは気にしないで」祈はドアフレームに寄りかかり、腕を胸の前で組んだ。

朔はすぐには動かなかった。視線が祈の顔から彼女の背後の部屋へと移り、一周してから戻ってきた。何かを確認するような目つきだった。

「三食ちゃんと食べろ」

「わかってる」

「現場に行くな」

「今は行く現場もないよ」

祈は彼に手を振った。「早く行って、新幹線に遅れるよ」

朔が背を向け、千葉律が続いた。二人...

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