「凛月庵の朝」

「浅野さん、こっちへどうぞ」碓井が立ち上がり、人懐こすぎる笑顔で手招きした。

「昼間は本当に失礼しました。酒が入ると加減がきかなくて。今夜は皆さんと一緒にお詫びできればと思いまして」

祈は席を見渡した。慎が隅に座り、傍らに半分ほど残った清酒のグラスを置いていた。祈が入ってきたのに気づくと、小さく頷いた。

慎がいる前では碓井も無茶はしないだろう。そう判断して、慎の向かいに腰を下ろした。

乾杯は二品目から始まった。仕入れ先の男たちが一人ずつグラスを持って近づいてきた。顔を赤くして、はじめまして、よろしくお願いします、と型通りの挨拶を繰り返した。祈はお茶で最初の二杯をやり過ごした。三人目の男...

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