「サプライズ」

梢が慎の隣に腰を下ろした。アイボリーのツイードスーツが薄暗い照明の中で柔らかく光っていた。何の前触れもない登場だったが、この空間に最初からいたかのように自然だった。周囲の派手な女たちが、彼女の前で一瞬色を失った。

慎は二秒、彼女を見てから、握りしめていた拳を開いた。

「なぜ電話に出なかったの」梢はウイスキーのグラスを彼の手の届かない位置へ移し、自分のグラスを手に取った。「浅野さんとの良い知らせを待っていたのに」

慎が短く笑った。酒で目が薄く赤くなっていた。「良い知らせ?一緒に寝た」

梢はグラスを口に運び、一口飲んだ。表情は動かなかった。

「そう。少し早かったけど、順調じゃない。おめで...

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