「天使の刃」

深夜一時。

梢のスマートフォンの画面が光った。着信表示に「碓井」とある。

二度目の振動で出た。

「神宮の当主が直接凛月庵に来ました」碓井の声が揺れていた。「人を連れて、区域全体を封鎖しています」

梢は落地窓の前に立ったまま、声の調子を一切変えなかった。

「聞かれたことには全部答えなさい。監視カメラの映像も、すべて見せて」

「……何か、気づかれるんじゃ——」

「宴席で酒を飲まされて、牧野が庇って、そのまま二人で部屋に戻った」梢は遮った。「これは作り話じゃない。事実よ。そのまま話せばいい。結論は向こうが勝手に出す」

通話が終わった。

梢は東京タワーの残光を見つめた。唇が微かに動い...

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