「白いシャツの衿」

しばらくして、渉が顔を上げ、祈を一瞥した。

「普通の人間なら四十分が限界です」珍しく重みのある口調だった。「一時間以上耐えた。意志の強い人だ」

床に落ちていたガラスの破片を一つ拾い上げ、持参していたジップ袋に収めた。

夜明けの光が古いアパートのカーテンの隙間から差し込んでいた。

台所で祈は色褪せた古いエプロンを結び、味噌汁をかき混ぜていた。玉子焼きが鍋の中で形になり、箸で裏返した。

リビングから気配がした。

屹が目を覚ました。スーツのまま長椅子に横たわっていたことに気づき、薄い毛布が掛けられているのを見た。右手の傷口には包帯が巻き直されていた。ガーゼが整然と巻かれ、ヨードホルムの匂...

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