「条件」

祈がドアを開けて廊下に飛び出したとき、階段口には非常口の緑の誘導灯が点滅しているだけだった。

蛍光灯管が微かな電流音を立てていた。

しばらくそのまま立っていた。

それから部屋に戻った。ドアを閉めて、背中をドアに預け、ゆっくりと床にずり落ちた。

産検票が燎の放り投げたままベッドの上にあった。

立ち上がって拾い上げる。指の腹が「妊娠週数」という文字の上を滑った。

「赤ちゃん……」

声はとても小さかった。自分でも聞こえないくらい。

「ママが、ちゃんと守ってあげられるかわからないけど……」

宴会場で朔が自分を見たときの目が浮かんだ。あの冷たさ。見知らぬ他人を見るような、何もない眼差し...

ログインして続きを読む