「路地の刃と差し伸べた手」

「お父さんが……これを調べていたんだ」

燎がうなずいた。

「借金から逃げたんじゃない。知ってはいけないことを知ったから、消えたんだ」

姉弟は顔を見合わせた。互いの目の中に、同じものを見た。

祈は佐伯に視線を向けた。彼はまだ鉄製のキャビネットの横に立っていた。肩がわずかに丸まり、顔色は蒼白で、目の縁が赤くなっている。

「その後、父がどこへ行ったか、ご存知ですか」

佐伯は首を振った。声が震えていた。

「わからない。あの人は荷物を置いていっただけで……その後どこへ行ったのか、本当に知らないんだ」

一度、喉を鳴らした。視線が床へ漂う。

「持って行ってくれ。もう来ないでほしい」声が極限...

ログインして続きを読む