「崩れた嘘」

路地が静まり返った。

風の音だけが残った。それと、朔の右手の指先から血が地面に落ちる音が。

振り返る。祈と向き合った。

壁に背を張りつかせたまま、リュックを両腕で抱えている。上着に朔の血がついていた——濃い色の、大きな染みが。頬にも飛んでいた——細かい血の粒が頬骨の上に散っている。

目が大きく開いていた。瞳孔が広がり、視線は朔の右手の傷口に固定されている。唇が二度動いた。何も出てこなかった。

朔は左手でスーツのジャケットのボタンを外した。一つ。二つ。脱いで、祈の肩にかけた。

布地は朔の体温を含んでいた。乾いた、温かい温もりが、乱れた衿元と剥き出しになった腕をすっぽりと包んだ。

し...

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