「捏造」

「お酒を飲んでいた。自分から来た。強制はしていない」

「じゃあ、血は——」

「初めてだったとは知らなかった」山口の口調が冷えた。かすかに肩をすくめる。自分とは無関係な些事を処理するような身振りだった。「会って二日で男の部屋についてくる女に、俺が責任を取る必要はない」

祈の指が掌に食い込んだ。

目の前の顔は、数時間前に宴席で紬にお酒を注いで笑いかけていたときと同じだった。同じ顔。まるで別の温度。

「あなたは——」

山口が半歩下がり、ドア枠に手をかけた。

「浅野さん、関係ないでしょう」声は低くも高くもなく、ちょうどいい距離感で線を引いていた。「ご自分のことを気にした方がいい」

ドア...

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